先日の大雨に伴う土砂災害警戒情報の発表に避難勧告の発令はビックリしまたね。東日本大震災以降、スマホからのアラート音にドキッとしちゃいます。
横浜南部のエリアでは、西、中、南、港南、保土ケ谷、磯子、金沢、戸塚、栄の計9区の山沿いや急傾斜のエリアに住む2,360世帯5,087人に対して、避難勧告を発令。さらにニュースやTwitterを見ると、道路や駅構内が冠水したり、停電になったり、実際に金沢区では土砂崩れが起きたり、かなり混乱しました。幸いにも大きな人的被害はなかったようで何よりです。
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https://hama-nagaya.net/archives/433
今回の大雨をきっかけに、改めてこの町と水害についてまとめてみようと思います。
水害と無縁じゃないこの街
大岡川はしばしば氾濫していた
この港南区は、谷と台地で構成された地形で、大岡川に並走するように通る鎌倉街道、平戸永谷川に並走するように通る環状2号線など、谷あいの低地に幹線道路があり、実は道路冠水が起きやすい地形だったりもします。
それに加えて昭和30年代後半から40年代前半にかけて、港南台や洋光台など山林の宅地化が進み、山としての貯水機能が著しく低下。梅雨時や台風の時などには大岡川に流れる水量が増えてしまい、しばしば浸水被害を受けるようになったといいます。実際、上大岡駅周辺が浸水したこともあったくらいですし、図書館で地元の歴史書をめくれば、大岡川の氾濫は昭和40年代のこの町の人にとっては深刻な問題だったことがわかります。
奇しくも横浜の都市化で同様の問題が各地域で起きていたので、横浜市は、総合的な治水対策に取り組み始めます。遊水地、雨水調整池、防災調整池、雨水貯留施設、河道整備、水位観測所、分水路などがそうです。
この町でいうと、野庭地区センター前の「野庭団地第一雨水調整池」などはそうした治水対策施設の1つです。
この町を散歩すると、規模の大小はありますが、至るところにこうした雨水を一時的に貯め込む施設が多いことに気づきます。
日野立体近くの水門の正体
そしてより大規模な治水対策として約10年の歳月がかけられた大事業が「大岡川分水路」。大雨などで大岡川に急激な増水が起きた時に、増えた水の一部を根岸湾に直接流すためのバイパス的な役割を果たす水路となります。
総事業費は、当時の金額で約166億円。大卒初任給が34,100円(厚生労働省調べ:1969年版)だった時代なので、いかに大事業だったかがわかります。
日野立体近くから見える水門は、この大岡川分水路の起点といえる日野川日野取水庭の施設というわけです。ちなみに日野川は、上大岡周辺で大岡川へと合流する支流です。
鎌倉街道から水門を目指して、日野川日野取水庭の近くに行くと、説明が書かれた石碑があり、現在の町の発展に貢献してきた施設だということがわかります。
川を覗きこむと、日野川(大岡川の支流)と分水路でふたまたに分岐していて、分水路側が一段高くなっていることが確認できます。普段は日野川に水が流れるようになっていて、増水したらその分だけ分水路に流れ込む形です。一気に流れ込まないように、水門で水量を調節しています。
ちなみに笹下にも分水路の取水庭はあり、そちらは「大岡川笹下取水庭」といいます。
●施設詳細
大岡川分水路
事業開始:1969年
事業完成:1980年
全体延長:約3.6km
概要:大岡川上流ならびに日野川からの洪水を全量カットし、直接根岸湾に放流するための分水路
総事業費:約166億円
日野川日野取水庭
所在地:港南区日野五丁目
大岡川笹下取水庭
所在地:港南区笹下五丁目
・大岡川分水路の紹介(神奈川県Webサイト)
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/i6k/cnt/f617/p1095338.html
当時の想定を越える大雨
そんな施設があるなら安心かと思いきや、先日の大雨では、鎌倉街道は一部で冠水しました。近年、ゲリラ豪雨など、短時間に膨大な雨が降ることも多くなった現在では、約40年前の想定とは異なった雨の降り方をしていることは無視できません。
今日の夜から明日くらいで大型の台風15号が関東地方に上陸するなんて話もでています。川沿いにお住まいの方は、大雨時の外出には十分にお気を付けくださいね。そしてくれぐれも川がどうなっているかを見に行くようなこともおやめください。
どうしても気になるという方は、横浜市が氾濫の恐れがある河川にカメラを設置し、定期的に画像をWebで公開しているのでそちらでチェックしましょう。
・河川監視カメラ画像
https://mizubousai.city.yokohama.lg.jp/index.html
いずれにせよ、今日から明日にかけて、台風による大雨被害が予想されるので、皆さん十分にご注意ください。